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教員News(No.23)

作業療法学専攻
言葉の大切さ(王 治文)

 教員の仕事は他人に物事を説明したり,文章を書いたりして,言葉と接する機会が少なくありません.特に日本語は私の母国語ではないため,伝えたいことを限られたボキャブラリーで表現することは難しい作業です.とはいえ,日本語を勉強し始めてからそろそろ20年になります.すなわち,私の日本語歴は現在接している学生たちとほぼ同じです.日本語の勉強不足に反省する一方,学生たちの会話する姿をうらやましく見ています.

 広辞苑には,言葉の意味を「ある意味を表すために,口で言ったり字に書いたりするもの.語.言語.」と書いてあります.広辞苑に書いた通り,言葉を利用する場面は,会話など話し言葉(口語)を使うときと.文章など文語を使うときと,2つに分けられます.口語と文語両方同じ日本語を使用していますが,流れが少し異なっています.

 口語とは会話などの場面で使用する言葉使いです.それぞれの時代にはそれぞれの口語があり,以前の口語がどうしても現代に合わないなぁと,時代劇を見るとよく感じます.また口語には主語を省略したり,略語を使ったりすることや,文法を間違って使用することがあり,これらも自然の流れに沿っての成り行きで,会話している本人たちにとって全くのノープロブレムのようです.かえって主語を省略することは表現があいまいとなり,奥ゆかしい日本人の心を表します.

 一方で,文語ではきちんとしなければなりません.特に論文やレポートの場合,文章に文法の間違いや省略があると,読むとき違和感があります.違和感というより,何を言いたいのかさっぱりわからない時があります.私は日本語に関して厳しいとほかの先生にもよく言われますが,理由があります.会話する場面でジェスチャーや表情など,非言語的なものを利用して表現できる一方,文章において伝えようとする事柄の意味を表現できるものは文字だけです.したがって,決められたルール(文法)で正しい語彙を使わないと,言いたいことは伝わりません.せっかく書く文章なのですから,あいまいさがなく,ニュアンスのわからない私でも理解できるように書いてほしいです.

 英語の「communication」(コミュニケーション)という言葉はすでに日本語になじんでいるようですが, 意思の伝達?疎通との意味があります.したがってまず自分の意思を確立しないといけないし,そして自分の意思が正しく伝わらないとコミュニケーションにはなりません.コミュニケーションは言葉一つ一つの意味を確認し,自分の意思に最も近い言葉を選び,適切に組み合わせて,組み立てていく作業です.(もちろんこの言葉に関して相手と共通する認識があることは前提です.)なので,言葉を大切に選び,使わなければなりません.

 言葉を利用することは日常生活では当たり前のように行われていますが,実は難度の高い作業です.この文章を書いている際にも私は自分の力不足を改めて感じました.日本語をもっともっと上達できるように勉強しなければならないと痛感しています.