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教員News(No.12)

作業療法学専攻
「四大疾病」から「五大疾病」へ(作業療法学専攻教員 二木文明)

「四大疾病」とは国がこれまで重点的な対策として取り組んできた疾患であり、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病がその対象でしたが、平成23年、厚労省はこの四つに精神疾患を加えて「五大疾病」とする方針を決めました。

わが国において高齢者の認知症患者―その中で最も多くを占めるのがアルツハイマー型認知症ですが―は現在、460万人程度と推計されています。これは65歳以上の高齢者約7人に一人が認知症ということであり、かなりの割合にのぼります。また、うつ病も一生の間に約15%の人が罹患するとされており、発病の年齢層は若年層から中高年まで広範囲に及んでいます。うつ病を“国民病”と呼んでも言い過ぎではないでしょう。「精神疾患」が五大疾患に組み込まれたのは、これら高齢者の認知症とうつ病の増加が背景にあってのことです。

現時点では認知症の根本的な原因を治す治療法は見つかっていません。一方、うつ病は原則として元の健康な状態に回復する疾患と考えられていますが、再発しやすいという問題があります。更に近年、うつ病では症状が改善しても復職や復学に困難を抱えるケースが増加しているとも言われます。新しい抗うつ薬も開発されているのですが、再発防止や復職の決め手にはなっていないのが実情です。

とはいえ、精神医療に携わる側として手をこまねいているわけではなく、これらの疾患に対して種々の治療法やリハビリテーションを試み、相当の効果をもたらしています。作業療法学における「精神科作業療法」という領域もその一つです。

このコラムを読まれて興味を持たれた高校生の方がおられましたなら、本学のオープンキャンパスに是非お出でになって、作業療法―とりわけ精神科作業療法とはどのようなことを行なうのかを本専攻の教員にお尋ねになってみるのは如何でしょうか。